費用・相場
葬儀費用を抑える方法|無理なく見直す考え方
目次
結論
葬儀費用を抑える基本は、「形式を落ち着いて選ぶ」「見積もりの内訳を確認する」「同じ条件で複数社を比べる」の三つです。総額だけで判断せず、何にいくらかかるのかを理解することが、無理のない見直しにつながります。なお、お布施は葬儀社への費用とは別枠のお金で、値切る対象ではありません。この記事では、寄り添いながら費用を整理する考え方をお伝えします。
葬儀費用は、まとまった額になることが多く、「できるだけ抑えたい」と考えるのは自然なことです。一方で、費用を切り詰めることと、故人をていねいに見送ることは、両立できます。大切なのは、内訳を理解したうえで、ご家族が納得できる形を選ぶことです。この記事では、不安を大きくしないよう、順を追って費用を見直す考え方を整理します。
なお、お布施は葬儀社に支払う費用とは別のお金です。葬儀社の見積もりには含まれないため、費用の全体像を考えるときは、葬儀社費用にお布施を足して見込んでおくと安心です。お布施は値切る性質のものではありませんので、抑える対象とは分けて考えます。
まずは葬儀の形式を落ち着いて選ぶ
葬儀費用にもっとも大きく影響するのが、葬儀の「形式」です。一般葬・家族葬・一日葬・直葬では、費用の目安が大きく異なります。まずは、それぞれの形式でどのくらいの幅があるのかを見比べてみましょう。
形式ごとの費用の目安
全国の目安・会葬 約20名で試算(お布施は含みません)
直葬・火葬式
通夜・告別式を行わず火葬のみ。参列は近親者のみ。
20〜45万円
含まれるもの:搬送・安置・棺・火葬手続き代行
一日葬
通夜を省き、告別式と火葬を一日で行う形式。
59〜110万円
含まれるもの:上記+式場・祭壇・告別式運営
家族葬
家族・親しい方だけで通夜・告別式を行う形式。
69〜115万円
含まれるもの:上記+通夜運営
一般葬
一般の参列を受け入れ、通夜・告別式を行う形式。
114〜210万円
含まれるもの:上記+一般参列対応・受付設営
※ 概算です。お布施は形式ごとに別途かかります。詳しくは各形式の目安と あわせてご確認ください。実際の費用は葬儀社の見積もりでご確認ください。
上の比較のように、通夜や告別式を省いたり、参列者を近親者に限ったりすると、費用は抑えられる傾向があります。ただし、形式を選ぶときは費用だけでなく、参列してほしい方の顔ぶれや、ご家族の気持ちも大切にしてください。参列者を限る家族葬では香典として受け取る額も少なくなるため、ご遺族が実際に負担する金額は、単純な総額だけでは決まらない点にも留意しておきましょう。
形式ごとの向き・不向きは、次のように整理できます。あくまで一般的な傾向であり、地域やご家庭の考え方によって異なります。
見積もりの内訳を確認する
形式を決めたら、次は見積もりの中身を確認します。費用を抑えるうえで大切なのは、「一式◯◯万円」という表示だけで判断しないことです。その一式に何が含まれているのかを、見積書でていねいに確かめましょう。
葬儀費用は、大きく分けると次の要素で構成されます。内訳を横バーで見ておくと、どこにお金がかかっているのかがつかめます。
家族葬の費用内訳の目安
全国の目安(お布施は含みません)
- 基本料金(式一式)550,000円〜950,000円
上記+通夜運営
- 料理・返礼品(約20名分)140,000円〜200,000円
会葬人数に応じて増減する変動費です。
※ 概算です。実費(火葬料・式場使用料など)は自治体・施設により異なります。
上のように、費用は「基本料金(式一式)」と「料理・返礼品(人数変動費)」に分けて考えられます。基本料金は式そのものにかかる費用で、料理・返礼品は参列人数に応じて増減する変動費です。さらに、火葬料や式場使用料、ドライアイス、搬送費などが「実費」として別に加わることがあります。これらが見積もりに含まれているかどうかは、社によって異なります。
内訳を理解しておくと、「どこなら無理なく調整できるか」が見えてきます。たとえば、料理・返礼品は参列人数を落ち着いて見積もることで過不足を防げますし、祭壇や返礼品のグレードは、ご家族の希望に合わせて選び直すことができます。
同じ条件で複数社を比べる
費用を無理なく抑えるうえで、もっとも効果的なのが「複数社の見積もりを比べる」ことです。ただし、比べるときは条件をそろえることが大切です。形式・参列人数・式場・祭壇のグレードなどがバラバラだと、金額だけを見ても公平な比較になりません。
見積もりを比べるときは、次の点を確認しておくと判断しやすくなります。
- 一式に含まれるもの:祭壇・棺・搬送・安置・式場使用料などが含まれているか。
- 別料金になる項目:火葬料・ドライアイス・返礼品・料理などが別かどうか。
- 人数変動費の前提:何名分の料理・返礼品で見積もられているか。
- 追加になりやすい費用:安置日数が延びた場合や、搬送距離が長い場合の扱い。
同じ条件で複数の見積もりを並べると、各社の特徴や、含まれるものの違いが見えてきます。金額の安さだけでなく、必要なものが過不足なく含まれているかという視点で選ぶと、あとで慌てずにすみます。
不要になりやすい項目を落ち着いて見直す
費用を抑えるといっても、必要なものまで削る必要はありません。ここでは、比較的見直しやすい項目を整理します。いずれも、ご家族の希望を第一に、無理のない範囲で検討してください。
- 祭壇のグレード:規模や装飾によって費用が変わります。希望に合う範囲で選び直せます。
- 料理・返礼品の数:参列人数を落ち着いて見積もることで、過不足を防げます。
- 会葬礼状や返礼品の内容:形式にこだわりすぎず、必要な範囲に整えることができます。
- 安置日数:日程を調整できる場合は、安置にかかる費用を抑えられることがあります。
これらは、ご家族が納得できる範囲で選ぶものです。費用を切り詰めること自体が目的になってしまうと、あとで悔いが残ることもあります。「必要なものは残し、見直せるものは落ち着いて調整する」という姿勢が、無理のない見直しにつながります。
お布施は別枠で見込む
ここまで見てきた費用は、いずれも葬儀社に支払うものです。これとは別に、宗教者へお渡しするお布施を見込んでおく必要があります。お布施は葬儀社の見積もりには含まれないため、総額を考えるときは別枠として足しておくと安心です。
この条件での葬儀費用の目安
- 前提条件
- 家族葬
- 会葬 11〜30名(約20名で試算)
- 全国の目安
葬儀社に支払う費用の目安(お布施を除く)
690,000円〜1,150,000円中央値 920,000円
葬儀社への費用とは別のお金です
お布施の目安(別途)
20〜40万円
お布施は宗教者への謝礼であり定価はありません。地域・寺院との関係により大きく異なります。
※ 料金マスタに基づく概算です。式場・安置日数・搬送距離・地域の慣習などにより 実際の金額は変わります。正確な費用は複数の葬儀社の見積もりでご確認ください。
上のボックスのように、葬儀社への費用とお布施は、はっきり分けて表示されます。お布施は読経や戒名をいただいたことへの謝礼で、値切る性質のものではありません。読経の回数や形式、戒名の位によって目安が変わります。迷う場合は、菩提寺や葬儀社に相談してかまいません。お布施の考え方はお布施の相場と包み方でくわしく確認できます。
給付・補助の制度も確認しておく
費用を抑える工夫とあわせて、受け取れる給付や補助がないかも確認しておきましょう。健康保険からは、葬祭費(国民健康保険など)や埋葬料(健康保険)といった給付が支給されることがあります。制度の名称や金額は、加入していた保険や自治体によって異なります。
こうした給付は申請しないと受け取れないことが多いため、忘れずに手続きしておきましょう。給付の対象や申請先については、葬儀のあとに続く手続きとあわせて、死後の手続き一覧で全体像を確認しておくと安心です。また、費用の負担を誰がするかで迷う場合は、葬儀費用は誰が払う?もあわせてご覧ください。
生前に準備しておくとゆとりが持てる
費用を無理なく抑えるうえで、実は大きな助けになるのが、生前からの準備です。あらかじめ葬儀社に相談し、希望する形式や予算の目安を伝えておくと、いざというときに慌てて決めずにすみます。慌ただしいなかで決めると、勧められるままに項目が増えてしまうこともありますが、落ち着いた状態で検討しておけば、必要なものを見極めやすくなります。
生前の準備としては、次のようなことが挙げられます。いずれも、ご本人やご家族が無理のない範囲で進めるものです。
- 希望する形式を家族で共有しておく:どのような見送りを望むかを話し合っておく。
- 葬儀社に事前相談しておく:見積もりの目安を、落ち着いて確認しておく。
- お布施の見込みも立てておく:菩提寺との関係を踏まえ、別枠で準備しておく。
こうした準備は、費用を抑えるためだけでなく、ご家族の心の負担を軽くすることにもつながります。あらかじめ見通しが立っていれば、当日は費用のことに気をとられず、故人を見送ることに集中できます。急いで決める必要はありませんので、時間のあるときに少しずつ整えておくとよいでしょう。
追加になりやすい費用に気をつける
見積もりの段階では抑えめに見えても、実際にはあとから費用が加わり、総額が膨らむことがあります。無理のない見直しのためには、どのような場面で費用が追加になりやすいかを、あらかじめ知っておくと安心です。よく挙げられるのが、料理や返礼品の数の増減です。参列人数が見込みより増えると、その分だけ変動費が加わります。反対に、少なめに見積もっておいて当日追加する形にすると、割高になることもあります。落ち着いて人数を見積もることが、過不足を防ぐ近道です。
このほか、ご遺体の安置日数が延びるとドライアイスなどの費用が加わることや、搬送の距離が長い場合に搬送費が増えることもあります。式場の使用時間が延びた場合の扱いも、社によって異なります。見積もりを受け取ったら、「どのような場合に、どの費用が追加されるのか」を担当者に確認しておくと、当日になって慌てずにすみます。あらかじめ見通しを持っておくことが、無理のない費用管理につながります。
互助会や事前契約を利用している場合
葬儀費用にそなえて、生前から冠婚葬祭の互助会に加入していたり、葬儀社と事前の契約を結んでいたりする場合があります。こうした積み立てやプランがあると、いざというときの費用の見通しが立てやすくなります。ただし、積み立てた金額でどこまで賄えるのか、含まれない実費(火葬料や式場使用料など)は何かを、あらためて確認しておくことが大切です。プランに含まれない部分は、別途費用がかかることがあるためです。
故人が互助会に加入していたかどうかがわからない場合は、通帳の引き落としの記録や、契約書類の有無を確認してみるとよいでしょう。加入していた場合は、葬儀の前にその互助会へ連絡すると、利用できるサービスの内容を教えてもらえます。事前契約やプランの内容は、社によってさまざまです。不明な点は遠慮なくたずね、含まれるもの・含まれないものを整理したうえで進めると、落ち着いて費用を見通せます。なお、これらはいずれも葬儀社への費用に関わるもので、お布施は別枠のお金である点は変わりません。
費用を抑えるときに大切にしたいこと
費用を抑えることは、ご家族の負担を軽くするうえで大切です。一方で、費用の大小と、故人を悼む気持ちは別のものです。内訳を理解して必要なものを選ぶことは、けっして失礼にはあたりません。
見直しを進めるときは、次の点を心に置いておくと、落ち着いて判断できます。
- 総額ではなく内訳で考える:何にいくらかかるのかを理解する。
- 条件をそろえて比べる:同じ前提で複数社を比較する。
- 必要なものは残す:切り詰めること自体を目的にしない。
- お布施は別枠:葬儀社費用と分けて見込み、値切る対象とはしない。
無理のない範囲で費用を整えつつ、ご家族が納得できる形で見送ることが、いちばん大切です。
まとめ
葬儀費用を抑える基本は、形式を落ち着いて選び、見積もりの内訳を確認し、同じ条件で複数社を比べることです。総額だけで判断せず、何にいくらかかるのかを理解すれば、無理のない見直しができます。お布施は葬儀社費用とは別枠のお金で、値切る対象ではありません。費用を整えることと、ていねいに見送ることは両立できます。ご家族が納得できる形を、落ち着いて選んでいただければと思います。
この記事について
この記事は、葬儀・終活に関する一般的な情報をまとめたものです。費用の目安や給付制度の内容は、地域・保険者・葬儀社によって異なります。当サイトでは情報の正確性を高めるため、専門家による監修体制の整備を進めています。
掲載内容は一般的な目安であり、税務・法律・費用に関する個別の判断を行うものではありません。具体的なご判断が必要な場合は、葬儀社・自治体の窓口などにご相談ください。金額はいずれも概算です。
よくある質問
葬儀費用を抑えるにはまず何をすればいいですか?
まずは葬儀の形式を落ち着いて選ぶことが出発点になります。一般葬・家族葬・一日葬・直葬では費用の目安が大きく異なります。次に見積もりの内訳を確認し、含まれるものと別料金のものを見分けると、無理なく見直せます。
費用を抑えると故人に失礼になりませんか?
費用の大小と故人を悼む気持ちは別のものです。内訳を理解して必要なものを選ぶことは、けっして失礼にはあたりません。大切なのは、ご家族が納得できる形で見送ることです。無理に切り詰める必要はありません。
お布施も抑える対象に含めてよいですか?
お布施は葬儀社への費用とは別の、宗教者へお渡しする謝礼です。総額を考えるときは別枠として見込みますが、値切る性質のものではありません。読経の回数や形式によって目安が変わるため、迷う場合は菩提寺や葬儀社に相談してください。